東京高等裁判所 昭和28年(ネ)1480号 判決
(五) 控訴会社は、被控訴会社が本件建物をその財産目録に記載したことがないのであるから、禁反言の法理により、本件建物が被控訴会社の所有であることを主張し得ない旨を抗弁する。しかして本件建物が被控訴会社の財産目録に記載せられていないことは被控訴会社の争はない事実である。しかしながら会社財産が財産目録に記載せられなかつたからと言つて、その財産をも会社のものであると主張することに何の妨げもない。他人がその不記載の事実からしてその財産を会社のものでないと判断して取得したとしてもそのことだけで会社のその財産に対する権利の主張が阻止せらるべき法理はわが法制上には存在しない。控訴会社の右主張も全く採用できない。